対象疾患、情報提供のあり方、費用負担、ワクチンの研究開発促進等が議論されています

世界的に新型インフルエンザ(A/H1N1)が流行したことを受け、厚生労働省は、基礎疾患を持つ人や免疫が弱い小児などで重症化する恐れが高く、大多数の国民が免疫を持っていないため感染が拡大しやすいとして2009年10月から順次、新型インフルエンザの予防接種を実施しました。

新型インフルエンザの予防接種事業は、予防接種法に準じた特別措置法に基づいて創設され、健康被害に対応することになりました。現行の法律では、伝染病の発生や蔓延を予防するための「1類定期接種」、個人疾病の発症や重症化を予防する「2類定期接種」、進行感染症やウイルスの突然変異などの蔓延を予防する「臨時接種」の3種類が規定されています。

高齢者の季節性インフルエンザはこのうち「2類定期接種」に該当しますが、感染力が非常に高く、多くの重症患者が出ることが予想される場合には「臨時接種」の扱いとなります。新型インフルエンザは、臨時接種として想定するほどには病原性が高くなかったため、予防接種法上に適切な枠組みがないとの指摘が相次いでいましたが、厚生労働省は緊急的に国の予算事業として予防接種事業を実施しました。

この事業が予防接種法に基づいたものではなかったため、今後、2009年に大流行した新型インフルエンザと同程度の病原性の新型インフルエンザが発生し予防接種を行うにはその都度、新たな特別措置法などが必要となることが問題として挙げられました。

そこで厚生労働省は厚生科学審議会感染症分科会に予防接種部会を設置し、予防接種制度に関する議論を開始しました。新型インフルエンザを予防接種法の枠組みの中にどのように位置づけるかについては、弱毒性を想定した新たな臨時接種の分類を創設することで意見の一致が見られました。これを受けて同省は、予防接種法改正案を提出しました。

また予防接種法の抜本的な改正に受け議論も行われました。抜本改正に向けて、予防接種法の対象疾病、予防接種事業の適正実施策、情報提供のあり方、費用負担、ワクチンの評価組織のあり方、ワクチンの研究開発促進と生産基盤の確保の論点で議論を行うことが必要とされました。

議論に際して厚生労働省はアメリカのワクチン接種に関する諮問委員会(ACIP)で対象疾患やワクチン情報の整理に活用されている「ファクトシート」を導入することを提案しました。インフルエンザ菌b型、肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス、水痘、B型肝炎、流行性耳下腺炎、ポリオ、百日咳の疾病・ワクチンのファクトシートを作成し、基礎資料とすることになりました。