大学病院などに1,000万人規模の医療情報データベースを構築

新たな医薬品安全対策として厚生労働省が発表した「医療情報データベース」が注目を集めています。これは電子カルテやレセプト等の情報をデータベースに集めて統計解析を行い、診療情報と医療機関からの副作用報告を照合することで、どの程度の割合で副作用が発現するのかまで解析できる体制を整備する狙いです。

アメリカではCOX-2阻害薬「バイオックス」の副作用問題で後手に回ったこを受けて、1億人分のデータアクセスの確立を目指すなど、薬剤額的手法を用いた医薬品安全対策が既にスタートしています。

医療機関からの自発報告では副作用の発生件数しか分かりませんが、医療情報をデータベースに登録し、全体像を把握しておけば、リアルタイムで副作用の発生頻度を解明することができます。データベースの登録件数が増えれば、0.01%程度の副作用の発現率でも早期に把握することが可能になります。

日本国内でも、日本薬剤疫学会や製薬業界が医療情報データベースの活用を求めていました。これを受けて厚生労働省は医薬食品局長の私的諮問機関として懇談会を設置し、具体的な検討に入りました。最終提言「センチネル・プロジェクト」では、全国の大学病院5施設に1,000万人規模のデータを収集するための医療情報データベースを構築し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)にも情報分析システムを作ることを求めています。

懇談会の議論では、2010年5月までは大学病院などの電子化診療情報と、1億人単位のデータを収集できる「ナショナル・レセプト・データベース」を基礎データとして使用する方向で話が進められていましたが、ナショナル・レセプト・データベースは保険請求に用いるレセプトの情報をデータベース化するもので、その活用方法は厚生労働省保険局が会議で検討することになっていました。

一方、センチネル・プロジェクトは同医薬食品局が中心となってまとめており、保険局よりも議論が先行してしまいました。そのため、提言ではナショナル・レセプト・データベースの活用に期待するとの表現にトドメ、保険極での今後の議論を待つことになりました。