免疫血清検査が全体市場の半分を占めています

臨床検査の市場は、インフルエンザが流行した2009年は伸びを示しましたが、インフルエンザが沈静化した翌年は市場の拡大に繋がる規模の新規検査項目が乏しかったため大きな伸びはありませんでした。同年は保険点数の改定があったものの、既に検査の保険点数は限界近くまで引き下げられていることから大きな影響はありませんでした。

臨床検査の市場は、PCC検査のイムノクロマト法と、定量法のケミルミが伸びていることもあり、全体の半分を免疫血清検査が占めています。次いで生化学検査、血糖自己測定試験が大半を占めるOTC検査の2分野が10%以上を占めています。

シーメンス、栄研、アークレイの3社がトップメーカーとなっている一般検査は、尿試験紙市場で、糖尿病、肝臓、腎臓等のスクリーニング検査として広く普及しています。検査項目には、ブドウ糖、タンパク、潜血、pH、ウロビリノーゲン、ビリルビン、ケトン体、白血球、細菌などがあります。

血液検査は血算・血液像市場と血液凝固・線溶市場があります。全社は既に普及しきっており、市場の伸びは微増ですが、後者は積水メディカルによる自社装置の発売、協和メデックスによる新規参入、ロシュ・ダイアグノスティックスが抗凝固剤・ワーファリン投与患者のPT-INRを簡易迅速測定する装置と専用検査試薬を発売して急速に売上が伸びており、市場も成長を続けています。

免疫血清検査はインフルエンザ市場が沈静化し、それに代わる大型の検査項目がなかったたため、市場の伸びは3%程度にとどまっています。検査方法も定量はケミルミ、定性はイムノクロマトに集約され、新規の測定法の開発による市場の開拓もしばらくはないと思われます。

細菌検査は、細菌培養検査市場で、検査単価が持続的に低下していることにより、検査数、金額ともに微増にとどまっています。病理検査は免疫組織染色が大半を占めています。侵襲が少ない検体採取法が普及していることから、病理検査の検体は増加しており、内視鏡、穿刺等により摘出した検体が半数を占め、手術により摘出した検体は5%程度と推定されます。

免疫病理染色では、これまでダコの抗体が広く普及してきました。これに対し、ロシュは、免疫病理染色に特化した事業展開を継続しており、装置の稼働台数の増加に伴い、抗体の実績も増加しており、市場を二分するところまできています。

遺伝子検査は、リアルタイムPCRの特許を保有しているロシュが圧倒的なシェアを持っています。HCV検査は、治療を実施する患者が一巡したことにより、市場は減少傾向にあります。結核菌、女性に多い性病の代表格であるクラミジアの検査は横ばいの推移となっています。

クラミジアは排尿時の痛みや陰部の痒みといった、性病の症状が発現しにくいので注意が必要です。妊娠に悪影響を及ぼすこともあるので、不安な方は婦人科のある医療機関の受診をこころがけましょう。子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を調べるHPV核酸同定検査は2010年に保険適用となりましたが、細胞診で正常でない結果が出た場合の適用となっています。

OTC検査は尿試験紙、妊娠診断薬、排卵予知薬、血糖自己測定市場がありますが、妊娠診断薬は価格競争が激しく市場は減少しており、代わりに糖尿病患者の増加によって自己血糖測定が大部分を占めるに至っています。ただしこの分野も外資系企業の価格競争により市場の伸び率は鈍化傾向にあります。